三十路だけど公務員辞めてきた。

30歳にして市役所を退職した元公務員のブログ。主に役所の裏側や退職について。

「他人の職種・職業を否定しディスる習慣」は昔からある日本の因習

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思いつくだけでも、

政治家・・・何かよく分からないけど悪いことをしている人。

市役所職員・・・国家公務員試験に受からなかった落ちこぼれ。午後3時にはパチンコ、定時までいたらそのまま職場で酒盛り開始。

学校教師・・・世間知らず。ロリコン、ショタコン。

警察・・・点数稼ぎに躍起になる。変死体も自殺として処理する。

自衛隊・・・暴力装置。

銀行・・・他人から預かったお金を別の人に貸し出すだけの仕事。

芸能人、プロスポーツ選手・・・ヤクザ。

土建屋・不動産屋・・・ヤクザ、DQN

アフィリエイター・ブロガー・・・ニート、楽して稼いでいる。

・・・というような職業に対するステレオタイプな意見や偏見を聞いたことがある。

 もちろん、上記の例は全くのデタラメであり、思想・心情により実態が歪められているケースや、有り得ないことを前提に半ば冗談で言われていることもある。たまたま上記の例に合致するような人がいたとしても、それはあくまでその個人の職業がたまたまその職種であっただけで、その職業・職種全体の傾向には関係ない、ということは念のため申し添えておく。

 それでも、親の世代や世間では良識ある「大人」として扱われている人々が、上記の例と大差ない内容を当たり前のように話しているのを見聞きしてきた。
 
 こう見ると近年Twitterやブログ界隈で賑わう「フリーランス 対 サラリーマン」の論争以前から、他人の仕事や職種を否定し馬鹿にする文化は、私たちの身の回りに昔からあったのではないだろうか。「職業に貴賎なし」という言葉は、本当に誰もがそう思っているなら生まれない。こうなる原因が幾つか挙げられる。

「他人の職業」を批判する6つの理由

1.無関心・知識不足

 単に他人の仕事の実態を知らないことや関心が無いことからくる知識不足。「隣の芝生は青く見える」から、他人の仕事が楽に見えて羨ましいという理由。しかし相対的に楽に見える仕事でも、その対価が自分に比べて小さいと思えれば気にはならないかも知れない。

 例えば、国家公務員試験と地方上級試験や各自治体の試験はそれぞれ独立した試験である。試験や選考日程が、国家公務員Ⅰ種→Ⅱ種→各自治体となる場合、国家公務員試験の不合格者が結果として地方の各自治体に流れてくることもある。あるが、あくまでそれぞれの試験は独立しているため「国Ⅰの不合格者=各自治体の受験希望者」の等式が常に成り立つわけではない。念のため。

2.拝金主義、ニヒリズム

 「他人」への興味・関心より「金」への関心が高いから、ともかくお金や対価を稼ぐことが仕事の至上目的となる。自分の稼ぎが他人より少ないと、他人の仕事を「楽して稼いでいる」「ズルして稼いでいる」と非難したくなる。

3.賃金を含む待遇への不満

 労働の対価も大切だが、その対価の元となる利益を生み出す環境も大切である。その環境が他人に比べて苦しいと、ついつい"楽な環境にいる(と思われている)他人"を批判したくなる気持ちになるのも分かる。「あいつは楽をしているからケシカラン」というやつである。

4.「平等」という幻想と職業選択の自由という建前

 日本ではエスカレーター式の教育制度と新卒一括採用によって就労のチャンスで一斉のスタートを切れる。そこに至るまでの選考プロセスは学科試験や大学受験という比較的努力が報われやすい性質のため、機会の平等はある程度保証されている。そのため、経済的自由権である"職業選択の自由"と併せて日本では望んだ仕事に就ける自由がある・・・とも言えるが、誰でも好きな仕事に就けるかというと、もちろんそんなことはない

 この不満が、"他者の労働に対する不満"として思わず噴出することもある。これがもう少し露骨な階級社会なら、最初から生まれや環境で「他人とは違う仕事をしていて当たり前」という考えに落ち着くのだろうが。 

5.「仕事」自体を美徳とする価値感の歪曲?

 日本は世界でも珍しく「働くこと、仕事をすること自体を美徳」とするという考えが古来からある。今では「勤労感謝の日」と呼ばれる祭日は、本来なら天皇陛下が新米を天地の神々に供え、自らもこれを食することで五穀豊穣の感謝を示すお祭りだった。

 国家でもっとも権威ある元首が、例えポーズとはいえ自ら稲刈りをするという行為はとても珍しい。「労働を罰」として考える文化圏では、とても恐れ多くて考えられないことである。
 
 しかしそんなことは、殆どの国民は知る由もない。日々の糧を得るために働くのが精いっぱいで、誰だって好きで働いている訳ではない。のだが、”残業自慢”や"忙しい自慢"、”作業量自慢”はけっこう多い。伝統が曲がって伝わっているのだろうか。

6.偏った思想・心情による独断と偏見

 日本列島は災害が多い。今年は地震、大雨など数多くの災害が日本列島を襲い、正に平成の終末を感じさせるものだった。その度に自衛隊が被災地に駆けつけて被災者の救助に当たってくれたのだが、思想的に自衛隊を気に入らない人というのは残念ながら常に一定数いるらしい。

 そういった人々が、心無い発言をすることもある。


 こんな説教クサイことを書いて、今すぐ「他人の仕事を批判するのは止めよう!多様性を尊重しよう!」などいう言う気はさらさらない。ただ従来の働き方を否定する自称新しき人々も結局は我々やその親たちの世代がしてきたことを繰り返しているだけであり、またそんな彼らを糾弾し非難する資格を持つ者も果たしてどれだけいるだろうか、という疑問はある。