三十路だけど公務員辞めてきた。

30歳にして市役所を退職した元公務員のブログ。主に役所の裏側や退職について。

大学受験のような長期勉強を乗り切るための、たった一つのシンプルな習慣/水滸伝のススメ

 それは物語と共に歩むこと、です。...何のことだかわかり辛いですね。具体的に言うと、「図書館の自習スペースで勉強し、合間の息抜きで蔵書の長編小説シリーズを読む。」、その習慣の継続です。

図書館で勉強する

 自習室のある図書館は無料で勉強が出来るありがたいスペースです。 無料と聞くと、一部の意識高い系アフィリエイターやブロガーの方々などは「貧乏人と空気を共有したくない」と言って毛嫌いしそうですが、自宅よりははるかに集中できて効率が良いです。これを利用しない手はありません。自習スペースなら単なる暇つぶしではなく、少なくとも「勉強すること」を目的とした人が集まります。同じ目的・意識を持つ人たちと空間を共有することは、意識やマインドの面でプラスになります。現役の中学生や高校生であれば学校の図書館でも良いですね。
 そこで「お気に入りの長編小説」に出会えればさらに良いです
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勉強の合間に息抜きとして長編小説を読む

 勉強をしながら、息抜きに図書館や図書室内の蔵書をフラっと散策することはあると思います。
 そこで、長そうな小説のシリーズに出会えればめっけものです。図書館に蔵書されているという性質上、既定の場所から無くなることはほぼ無いため、勉強以外にも図書館に通い続ける動機になります。

おススメは北方謙三氏の「水滸伝」

 私の体験からおススメするのはは北方謙三氏による「水滸伝」です。「水滸伝」自体は明代の「中国四大奇書」にも数えられ、日本でも様々な和訳やアレンジ作品が生まれています。滝沢馬琴による「南総里見八犬伝」も、水滸伝の影響を受けて生まれたものだとはよく言われます。

 北方氏による水滸伝はそれまでの和訳とは違い、「108星が好漢たちの根城である梁山泊に勢ぞろいするまで誰も死なない」という決まり事を破り、原点にはあった妖術や魔術の類も現実的な別の存在としてアレンジしています。かといって原点とは程遠い滅茶苦茶な内容なのかというとそうではなく、随所に原点ファンはニヤリとするオマージュも含まれています。原点を読み込んだ北方氏だからこそ出来るスクラップ&ビルドの極みと言えるでしょう。
www.shueisha.co.jp
 本作の主人公たち、梁山泊に集う好漢たちの目的は大宋国転覆です。つまり彼らはテロリストであり、革命の闘士です。作者は執筆に当たってキューバ革命を意識しており、宋江と晁蓋はそのままゲバラとカストロです。原点では一部の好漢たちには国家や皇帝への忠義はあり、あくまで良民を救うために悪官を懲らしめるだけでした。しかし北方氏の手掛けた本作では、梁山泊の同志たちは最初から国家転覆と新しい国づくりを目的として、動き出しています

メリット1.ともかく長い「水滸伝」⇒「楊令伝」⇒「岳飛伝」

 原点の「水滸伝」も一番コンパクトに纏まっている方で70回本、さらには100回本や120回本まで存在するとてつもなく長い民話集です。さらに李俊*1がシャム国の王子になる続編の「水滸後伝」まで含めればさらに長い話になります。
 北方氏は史実の「方臘(ほうろう)の乱」や異民族国家の進攻による北宋滅亡(1126年)に合わせて、物語を再構成し直しました。その結果生まれたのが、「水滸伝」(19巻)⇒「楊令伝」(15巻)⇒「岳飛伝」(17巻)からなる「大水滸」とも呼ばれる大河物語です。
 これだけ長い物語であれば、高校3年間に図書館に通い続けて勉強の合間に読み続けるのにちょうど良いのではないでしょうか。1年目で「水滸伝」、2年目で「楊令伝」、3年目で「岳飛伝」という長期計画です。私が現役受験生の頃は、高校最後の3年生の時期に北方氏の著作と出会いました。当時はハードカバーの「水滸伝」がまだ完結しておらず、完結は高校卒業を待たずに、その直後の春のことでした。1年を通して勉学の傍らに梁山泊の好漢たちの物語を追い、自らの志を成すことが出来ました。ちょうど良い時期に会うべくして本作に出会えたことを感謝しています

メリット2.大学受験を控える高校生にちょうどいい難易度と内容

 ハードボイルドで名高い北方氏の小説である上にさらに歴史小説の一面もあるので、小学生や幼子には若干難しい内容です。また、原点と違い男女の交合シーンやショッキングな場面もあるので、ある程度は大人向けな内容かなと思います。そこは、作者が読者のお悩み相談室にて「ソープに行け!」と言うぐらいの人ですので。しかし大学受験を志す高校生の国語力なら、本作の骨太なストーリーを十分に楽しめるでしょう。世界史を履修していて本作の背景にある北宋時代のこと、具体的には北方民族の脅威や徽宗皇帝の暗愚度を知っていれば、より物語の理解が深まるのではないでしょうか。また、「国を憂いて世直しを考える志士たちの物語」は、希望とエネルギーに溢れる青春時代に出会っておくことをおススメします。

 横山版の漫画・水滸伝も「ザ・水滸伝」という感じで好きです。

メリット3.努力する過程が描かれるので、感情移入して自分も頑張ろうという気持ちになる。

 最近は主人公がちょっと苦戦すると注意書きを書かなくてはいけな小説投稿サイトがあるようですが、「水滸伝」作中の登場人物たちの人生はともかくハードモードです。そもそも"国家を倒す"という大それた野心と展望、何の犠牲も苦しさも伴わずに達成できる訳がありません。同志の死、愛する者の死、拷問、戦、裏切り、謀略…ありとあらゆる不幸や困難が好漢たちに降りかかります。物語が苛烈であればあるほど、「自分もやるぞ!」という気持ちになりより一層勉強に身が入るはず...です。ちなみに「苛烈」なんていう言葉、私は本作で初めて知りました。
<参考までに>
dic.nicovideo.jp

デメリット・注意点

読書は「頭を使う休憩」であることを自覚する。

 気を付けるべきは、「読書は頭を使う休憩」であり、脳は意外に休まらないということです。甘い飲み物や飴を摂取することで少しでも脳に糖分を補給しながら、取り組むのが良いでしょう。
 しかし、これも考えによっては良い調練…いえ、訓練になります。
 後半になればなるほど、"頑張って勉強することはナンセンス"になります。言い方を変えると、直前では"いかに勉強をしていることが当たり前になっているか"の方が重要です。休憩時間に単語帳を捲る、休憩がてらに年表を確認する、そういった行為がセンター試験前の12月頃から当たり前になります。
 「そんなの休憩になるか!」
 という怒りや疑問の声もごもっともです。しかし、勉強する習慣が当たり前になれば次第にそれらの習慣も苦痛ではなくなります。そんなに苦しいことではありません。
 それにそれらの行為も、巨漢を背負って北京大名府まで歩いた燕青に比べればマシです。自らを死域(しいき)に追い込まない程度に頑張りましょう

 何と、近年ドラマ化もされています。

話が面白すぎて勉強そっちのけでハマり込んでしまう

 最初の頃は物語が面白すぎて勉強より小説にめり込んでしまう可能性もあります。ただそこで焦らないで欲しいのです。その行為自体は、身体や脳が欲した結果だということで、ありのままを受け入れてください。気になって勉学に集中できないよりは、読みたい内に読み進めてOKです。
 自分もそうでしたが、当初は始めの1月の間に2巻まで読み進めていた気がします。しかし、夏休みや周りも勉強してくる時期になれば、自然と受験勉強の方に身が入りました。秋や冬の頃には小説もあまり読んでいられないと思えば、4月、5月や始めの頃にページを捲る手が止まらないことはそこまで悪いことではありません。
 それに、どんなにのめり込んでも中々完結しないのが長編小説の利点です。次第に読み続けることに疲れて、「1年かけてゆっくり読むかあ。」といった気持ちになります。

 元祖、水滸伝の映像作品といえばこちらですね。

中国史に詳しくなることは期待できない

 あくまで創作物ですので、世界史の点数の足しは期待できません。どちらかと言うと国語力の足しになります。高俅(こうきゅう)や童貫(どうかん)のように実在した人物も物語には登場しますが、原点の時点で史実とはかなり異なる性格付けをされてますしね。
 世界史の教科書に出てきそうな人名や単語としては、  
「徽宗皇帝」「王安石」「澶淵の盟(せんえんのめい)」「花石ごう」「顔阿骨打(ワンヤンアグダ)」「方臘(ほうろう)の乱」「燕雲十六州(えんうんじょうろくしゅう)」などでしょうか。
 おかげで、世界史が不得意だったにも関わらず、北宋末期のヤバさだけはよく分かるようになりました

本当に言いたかったこと

 ここまでクソ長い文章を読んでいただいてありがとうございます。しかし中にはここまで読んで、「正直こじつけっぽい内容だな...。」「もっともらしいことを書いてるけど、北方水滸伝のマ*2かよ。」とお思いの方もいらっしゃると思います。

 すみません、コジツケです。
 実は最近、このブログの読者登録が100名を超えてそろそろ108名に到達しそうな勢いなのです。
 2ヶ月ほど前に始めたばかりで、まだ記事数も少なく、何より半分が私の愚痴や黒い感想を記述しているだけのブログなのに、これだけたくさんの方に登録して頂いて本当にありがたいです
 そこで108と言えば「水滸伝」だな、「梁山泊」に集った磨星の数だなと、勘の良い好漢や兄弟たちならきっと気付いたかと思います。

 最近、久し振りに地元の図書館に行き、そこで久し振りに北方謙三氏の「楊令伝」を手に取りました。高校を卒業し、梁山泊の崩壊以来遠ざかっていた水のほとりの物語に、再びのめり込みました。
 図書館から借りてきた「楊令伝」を自室の机に置き、ふとダッシュボードの「読者登録」を見ると数字は106。これも何かの縁だな天命だなと、思い込みの激しい私は思ってしまったのです。
 現在、私も資格試験のために勉強している身ですので、この勉強法を再び実践中です。取り敢えず、108名を超えたら何か「水滸伝」にちなんで記事を書かなきゃいけないかな、と思っております。

 PCゲームにも嵌ったなぁ...。妖術と火計ゲームだった。
(追記.)記事公開直後に読者登録108名となりました。ありがとうございます!

*1:登場する好漢の一人で梁山泊軍の水軍頭領

*2:ステルスマーケティングに対してステルスしてないマーケティングのことを指す