三十路だけど公務員辞めてきた。

30歳にして市役所を退職した元公務員のブログ。主に役所の裏側や退職について。

滝沢ドッカ―ン!! ~大河ドラマ「義経」の思い出~

 ジャニーズの滝沢秀明さん(36歳)がジャニーさんの後継者となるために、俳優業や芸能活動から引退することにしたらしい。
 滝沢秀明といえば印象に残っているのは、教え子と教師の禁断の愛を描き、今だったらゴールデンタイムで放送出来るか否かがけっこう際どい「魔女の条件」…ではなく、源九朗義経(みなもとのくろうよしつね)を主役に据え、源平合戦(治承・寿永の乱)をフルカラーで描いた初の大河ドラマである平成17年の大河ドラマ「義経」だ。

 当時は大河ドラマ人気にあやかって、オロナミンCのCMに上戸彩と牛若丸らしき武芸者に扮する滝沢秀明が出演していた。

「義経」の思い出

 当時の私は大学受験のために毎週日曜日は通っていた学習塾で夜遅くまで勉強をし、帰宅後にBSの再放送で「義経」を見るのが1週間の楽しみだった。その年度の内に志望の大学に一発で合格出来たことも、思い出を美化している要因かも知れない。そういった訳で多少の思いで補正もあるかも知れないが、独特な演出に対する世間の評価とは裏腹に、個人的に大好きなドラマだった。
 遮那王という幼名や通称「義経四天王」と呼ばれる郎党たち、奥州藤原氏の強大さや平家にも武士らしい武士がいたことなど、このドラマがきっかけで得た知見も多い。

魅力溢れるキャストたちと"平安時代"特有の妖しい演出

 滝沢秀明演じる源義経はイケメンだし、中井貴一さんの源頼朝は演技が上手すぎてもはや本人だし、高橋英樹が演じる藤原秀衡は北の王者の貫禄があったし、渡哲也演じる平清盛は西部警察だし、阿部寛演じる平知盛(とももり)は勇猛だし、平重盛(しげもり)を演じる細川茂樹は別の枠でその年の紅白に出ちゃうし、丹波哲郎が演じる源頼政(よりまさ)は本当に鵺を退治していそうな雰囲気があったし、今井翼演じる那須与一は少ししか出番が無かったけど「与一まつり」の集客に一役買っちゃうし、小池栄子の演じる巴御前はイメージピッタリだったし、木曽義仲を演じる小澤正悦は正月のスペシャルドラマ「八犬伝」でも義経と共演していたし、稲森いずみ演じる常盤御前は若すぎて義経の母上には見えなかったし、上戸彩が演じるうつぼは実在しなかった訳だし、三輪さんの演じる鬼一法眼は怖いオカマみたいで不気味だったし、平 幹二朗が演じる後白河上皇は悪そうだし、大杉漣が演じる源行家(ゆきいえ)も輪をかけて悪そうだし、全員キャラが立っていて1年間とても楽しませていただいた。

 義経一行の逃亡中に鬼一法眼が見せた妖術平知盛を筆頭に現れる平家の亡霊、そして最後の義経ドッカ―ンなど、真面目な視聴者にとっては大河ドラマとして許しがたい部分もあったのだろうけど、平安時代末期という鬼や妖と人の境界が曖昧であった最後の時代を舞台としていると見れば、個人的にはアリなんじゃないかと思う*1。ナレーションがお徳さん(白石加代子)なのも、怖い話が始まりそうで怪しさの演出に一役買っている。(怖い話?聞きたくないよ。)

岩代太郎氏の素晴らしい音楽

 壮大な神話の幕開けを予感させるようなOPを始め、劇中に流れた数々のBGMも物語を彩る上で素晴らしかった。サントラも購入したのだけれど、劇中のBGMが殆ど収録されていなかったのは正直ショックだった...。収録曲はOP曲である「伝説、そして神話へ~メインテーマ~」とそれを荘厳にアレンジした「エクステンデッドver」、ドラマ本編終了後に毎回流れた「義経紀行」のテーマ曲を4種類の楽器で演奏した「夜の歌」、他3曲からなる全9曲である。その内、「夜の歌 第2番 ~ピアノ編~」を演奏しているのは、まだ朝ドラに出演する前の松下奈緒その人である。

伝説、そして義経ドッカ―ン!へ

 そしてこのドラマを語る上で欠かせないのは伝説のラストシーン。厳密にはドラマのラストシーンではなく、義経の最期を描いたシーンである。藤原泰衡(渡辺いっけい)が放った軍勢に追い詰められた義経が、持仏堂の中で自刃する。その瞬間、持仏堂は大爆発し屋根は吹き飛び“白く輝く光”がドッカ―ンと噴き出し、やがてその光は白馬となって空高く飛んでいく...。これはNHKで本当に放送したドラマである。<参考>大河ドラマ板用語辞典
 たぶん同じように非業の死を遂げた際に白鳥になって天に昇ったといわれる大和武尊(たける)をイメージしていたのかも知れない。あるいは、このドラマはOPの映像やロゴから、やたらと白馬と義経のイメージを結び付けていたように思える。つまり馬 ⇒ 騎馬民族ということで、白い光は白馬の暗喩であり、源義経が大陸に逃げ延びて後に「チンギス=ハン」になったという説をオマージュにした演出なのかも知れない。
 先ほども述べたが、義経と郎党たちがが最期を遂げてすぐに物語が終わる訳ではない。鎌倉では北条氏が何やら暗躍しそうな雰囲気を醸し出し、頼朝や残された源氏の者達に対して暗い時代を予感させてこの物語は終わる。史実でも、頼朝は1,192年に原因不明の落馬、あるいはそれを起因とする障害でこの世を去ったことになっている。しかしその詳細については幕府の公式記録「吾妻鏡(あづまかがみ)」においても、そのことは僅かしか触れられていない。

*1:個人的感想だが、鬼や幽鬼が登場するメジャーな物語は平安時代までというイメージがある