三十路だけど公務員辞めてきた。

30歳にして市役所を退職した元公務員のブログ。主に役所の裏側や退職について。

私が公務員退職を決意した理由② 異動に伴う引継ぎが大変過ぎ【不十分?】

退職編の続きです。記事の一番下にもリンク先貼っておきます。

公務員の引継ぎとは?

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異動の負担感を大きく左右する要素に、前任者から後任者への“引き継ぎ”があります。新しい職場に“ほぼレベルゼロの装備無し”で入ってくる後任者にとって、前任者の引き継ぎが皮のツナギか黄金聖衣かどうかは、もはや死活問題です。

例え異動した部署の業務が自分にとって未知で困難を極めるものであっても、引き継ぎの中で前任者の熱意や仕事に掛ける真摯さ、そういったポジティブな感情を受け継げれば、自分を奮い立たせてなんとか頑張れる、ということもあります。

逆に前任者や新しい職場の人たちの業務に対する態度次第では、「自分がこれから取り組む仕事はそんなに関わりたくない仕事なのか。早く忘れてしまいたい仕事なのか。」と、後任者が戸惑うこともあるでしょう 笑。

引き継ぎも含めて今回の異動は、私の退職の決断にも多少の影響を与えました。しかしいつかは退職したいという意思はあったため、今回のことは良いキッカケになった、と思うようにしています。

公務員の「引き継ぎ」の問題点

多くの町役場や自治体では毎年4月に全体異動があるかと思います。その異動内容(内示)が出るのは早くて3月中旬、それから実際の異動まで2週間はありません。1週間か良くて10日あればいいでしょう。

その間に前任者は後任者へ業務の引き継ぎを完了させなければいけません。しかし、引き継ぎには制限時間を始め、以下のような様々な問題点があります。

前任者の後任者に対する優越

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前任者は数年だけ先に特定の業務に従事し、経験において後任者より勝っているだけです。けっして業務に対するパフォーマンスの高さが当人たちの能力や努力に起因するものとは限りません。

にも関わらず、異動直後の後任者の業務処理能力が優れない場合、後任者の能力が低く見られがちになります。

そして、新たな部署に異動した前任者は自らも新しい業務に絞殺されながら、後任者の相談や質問に対応しなければならなくなります。

そういった心の余裕の無さも影響し、自分が当たり前のように出来ていた業務を満足に出来ない後任者に能力の欠如があると思いこみ、業務が回らない理由を自らの引き継ぎやフォロー不足が原因だとは思わない人もいます。

対等な立場で行われない引き継ぎと「担当者主義」

上記のような場合で前任者の年齢や役職が後任者より上の場合、後任者が遠慮して仕事上の相談が満足に出来ない事態も想像できます。

さらに、市役所や町役場は担当者が特定の仕事を抱え込み、担当者しか細かい業務の処理が出来ない「担当者主義」に陥りがちな側面があります。

よって、引き継いだ仕事については新しい職場の上司や同僚に訊いても詳細が分からず、結局前任者に相談しなければ分からないということがよくあります。

そのため、多少はいい加減な態度を取られようとも、後任者は前任者の機嫌を損ねないように気を付けなくてはいけません。

管理職ノータッチ

そもそもそれ以前の問題点として、上司や管理職が前任者の業務を把握し切れていないことが往々にしてあります。

事務分掌で誰が何の担当かという表層的なことは知っていても、「前任者がやり残していない部分はないか?」、「異動直後に準備しておいてもらった方が良いことはないか?」といった細かいことまで把握していません。

管理職も忙しいですし、前任者に的確な指示を出すところまでは中々いきません。

「引き継ぎは担当者どうしで分かっていればいいもの」と公言し、異動後は「担当者が一番分かってなければいけないんだ。」と悪びれずのたまう管理職さえいます。役所の「担当者主義」の弊害です。

異動前に完璧な引き継ぎを前提としていない

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役所の異動は異動といっても庁舎内異動や、建物が別になってもそこまで距離的に離れた異動は無いです。そのため、「分からなければ後で聞けば(教えれば)良いし、少し業務に触れてからの方が質問や相談も中身があるものになる。」と考えてしまいがちです。

そのため、“異動前の引き継ぎはソコソコにして、必要なことはその都度教えれば良いや。”と考えてしまうこともあるでしょう。

しかし実際は4月は新年度の始まる忙しい時期であり、自分も新しい職場にいるのにちょくちょく前の職場に行くようなそんな余裕はありません。

あるいは最初からそんな建前も無く「もういなくなる場所だから関係ない」とばかりに、最初からいい加減な引き継ぎしか行わない人たちも中にはいます。

異動したら、過去のことは振り返らない

市役所以外の職場ではどうか知りませんが、私の職場では、異動があったばかりの4月の1、2週間ほどは、前任者が前の職場に顔を出し、近況報告がてらに後任者をフォローしている光景がよく見られます。

これを定時前の時間にやろうものなら一般市民から「真面目に働け!」と怒られるかも知れませんが、夕方5時以降の自分の仕事が終わった後に、わざわざ様子を見に古巣に戻って来る人もいるのです(もちろん残業代なんて申請しません)。

そういう人たちが多くいるのは、暖かくて良い職場だと思います。また、例え自分の引き継ぎに不足があったり、実はやり残していた仕事があったとしても、取り敢えず自分の誠意を前の職場にアピールしておくことは悪いことではありません

しかし中には、職場のそういった好意にタダ乗りだけして、いざ自分の番は知らんぷり、という人もいます。総じて異動した前任者が前の職場で良い人間関係を築けていなかった場合、何かと理由を付けて前の職場に近付きたがらない人もいます。

 

私は、異動した直後に元の職場で「引き継ぎが下手クソだ!!」と罵られたことがあります。それでも自分は前の職場に顔を出し続けました 笑。

その下手くそな引き継ぎと指導を受けた後輩は文句一つ言っていないのだから、自分がヘソを曲げて逃げる訳にはいきませんから当然です。

役所の異動と引き継ぎは「易姓革命」である

「易姓革命」とは中国王朝に代表されるような、朝廷、つまり王家の姓が変わる革命です。世界史で習った「殷周秦漢…」というアレです。

易姓革命は文化や伝統が引き継がれず、むしろ“自らの正当性を主張するために前任者をディスり扱き下ろす”傾向が強いことから、文化の破壊や断絶が起こるとさえ言われます。(易姓革命の対義後は「万世一系」です。長くなるのでそういう話は別の機会に譲りますが。)

役所も同様に、担当者の名前が文字通り2、3年で変わります。たった2,3年では業務の改善や効率化もそれほど進められず、仕事を覚えたと思ったらまた異動です。

結局、新しい人が来てレベル1から同じような工程を繰り返すことになります。

引き継ぎが上手くいかず経験や記憶が断絶することがあれば、市民から見てレベルマイナスから始まることもあるかも知れません。

役所に用事があって通い続ける住民側からすれば、2、3年毎に窓口の担当者が変わります。そのため、住民側の方が業務や内情に詳しくなってしまうこともあり得るからです。

  

引き継ぎについては、役所独特の「担当者主義」とその結果の「業務のブラックBOX化」さえ解決すれば、もう少し引き継ぎをする側も受ける側も負担が軽くなるとは思います。でもそれは、今さら職場を辞める自分が口出しすることじゃないです。

 

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